南太平洋に浮かぶフィジー。透き通った海や豊かな緑から、「南国の楽園」というイメージを持つ方も多いと思います。
でも、ここで暮らす中で心に残るのは、景色の美しさだけではありません。
身近な自然から食べ物を得ること。必要なものを分け合い、周りの人と支え合うこと。そんな日々の営みの中に、これからの暮らしを考えるヒントがあるように感じます。
自然は、日々の暮らしのすぐそばに

フィジーでは、自然と暮らしの距離が近いと感じる場面があります。
海でとれた魚を食べ、畑で育つタロイモやキャッサバ、身近な木に実るバナナやマンゴーを楽しむ。地域や家庭によって違いはありますが、土地や海の恵みが、日常の食卓につながっています。
それらは、特別な日にだけ選ぶ食材ではなく、普段の食べ物です。
何がとれ、何が育つ時期なのか。暮らしの中で自然に目を向ける機会があることは、食べ物や、それを育む環境を大切にする気持ちにもつながるのかもしれません。
必要以上にとらない、という意識

自然の恵みを受け取る一方で、とりすぎないこと、次の世代にも残すこと。その大切さを感じる場面もあります。
例えば、SNSで普段あまり食用にされない魚の販売投稿を見かけたとき、「海に戻してあげて」という声が寄せられていることがありました。
一つの投稿だけで、すべての人の考え方が分かるわけではありません。それでも、海の生き物を守りたいと思う人たちの声に触れ、自然との付き合い方を考えるきっかけになりました。
日々利用している海や土地だからこそ、その先のことも気にかける。そんな姿勢から学べることは、少なくないと思います。
「ケレケレ」に見る、分かち合う文化

フィジーの暮らしを考えるうえで、もう一つ印象的なのが「ケレケレ(kerekere)」です。
必要なものを親族や共同体の中で求め、分け合う慣習として知られています。食べ物や物をやり取りする背景には、人と人とのつながりや、互いに支える関係があります。
もちろん、その受け止め方や実際のあり方は、家庭や地域によってさまざまです。
ただ、自分の手元にすべてをため込むのではなく、必要としている人と分かち合うという考え方には、日々の消費を見直すヒントがあります。
何をどれだけ持つかだけでなく、誰と支え合って暮らすか。そんな視点も大切にしたいと感じます。
新しいものを増やす前に、今ある知恵に目を向ける

持続可能な暮らしというと、新しい商品を選んだり、特別な取り組みを始めたりすることを思い浮かべるかもしれません。
でも、フィジーで見かける暮らしの中には、以前から受け継がれてきた工夫や、人との関係を大切にする習慣もあります。
自然の恵みを無駄にしない。必要なものを分け合う。身近な人と助け合う。
フィジーの暮らしのすべてが環境に負担をかけない、というわけではありません。それでも、こうした営みを見つめ直すことは、これからの暮らし方を考える手がかりになるはずです。
編集後記
大きな言葉で語られていなくても、日常の中に、はっとさせられる知恵があります。
魚をとること、作物を育てること、誰かと分け合うこと。フィジーでそんな場面に触れるたびに、自分は自然や周りの人と、どんな関係で暮らしているだろうと考えます。
未来のためにできることは、まったく新しいものを生み出すことだけではないのかもしれません。すでに身近にある暮らしの知恵を、もう一度大切にしてみることからも始められそうです。

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