フィジーに来てから、日々の暮らしにすっかりなじんだものの一つが、お香です。
インド系フィジー人が暮らすこの国では、スーパーや、ヒンドゥー教の礼拝用品「プジャ」を扱う小さなお店にも、いろいろなお香が並んでいます。
家で香りを楽しむのが好きな私にとっては、見ているだけでも楽しい場所です。
ただ、一つだけ困っていたことがありました。気に入るお香立てが、なかなか見つからなかったんです。
いつか、部屋の雰囲気に合うものに出会えたらいいな。そんなことを思いながら探していました。
ころんと丸い、ココナッツの器

ある日、ナンディタウンを歩いていて、小さな器が目に留まりました。
ココナッツの殻でできた「ビロ(bilo)」です。フィジーでは、カヴァを飲むときに使われています。
丸くて、手になじむような形。殻の表面の模様にも、自然の素材らしい温かさがありました。
「あ、これ、お香を楽しむ場所に置いたらすてきかもしれない」
そう思って手に取ったのですが、もともと丸いココナッツなので、底も丸いんですよね。机に置くと、ころんと傾いてしまうものが多かったんです。
もう少し安定してくれたらな、と眺めていると、お店の方が声をかけてくれました。
「底を少しやすりで削れば、ちゃんと立つよ!」
なるほど、最初からぴったりの形でなくても、自分で少し手を加えればいいんですね。
その中から、比較的安定して置けそうなものを一つ選んで、家に持ち帰りました。
自分の暮らしに合わせて、使い道を考える

家でお香と合わせてみると、深い茶色の殻の質感が、部屋の雰囲気によくなじみました。
ただ、ココナッツの殻は燃える素材です。そのままお香立てや灰受けとして使い、火種や熱い灰を直接触れさせるのは危険です。 見た目が気に入っても、火を使う道具には安全性が欠かせません。お香を焚く際は、専用の不燃性のお香立て・香炉を、安定した耐熱性のある場所で使ってください。
この器自体は、火を使わない飾りや小物入れとして楽しむこともできそうです。
本来は、カヴァを飲みながら人が集い、「タラノア(talanoa)」と呼ばれる語らいの時間をともにする器。それを家に置いて眺めていると、フィジーの暮らしを少し身近に感じます。

手を加えることで、愛着が増えるもの
今回うれしかったのは、器との出会いだけでなく、お店の方の「少し削ればいいよ」というひと言でした。
最初から完璧にそろったものを探すだけでなく、手元のものを、自分の暮らしに合うように工夫してみる。そんな楽しみ方もあるんだなと、あらためて感じました。
皆さんの家にも、本来とは少し違う使い方で楽しんでいるものはありますか?
思いがけない使い道が見つかると、そのものへの愛着も増しますね。

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